日 本学術会議は29日、超大型加速器「国際リニアコライダー(ILC)」の国内誘致の是非を審議する検討委員会の第7回会合を東京都内で開き、「本格実 施は現時点で時期尚早。2~3年かけて判断すべきだ」との答申案をまとめた。幹事会を経て、9月中にも文部科学省に提出する。
ILC計画の学術的、国民や社会への意義は認めたが、長期にわたる巨額の投資に理解が得られているとは言い難いと明記。政府に対して、課題を検討するための必要な経費を措置し、集中的な調査、検討を提言する。
是非を判断する上での重要課題として、国や学術分野全体を踏まえた予算確保の枠組みや国際的な費用分担、研究者や技術者らの十分な確保など5項目を挙げた。
8300億円と試算された建設経費には機器や土地収用、社会基盤整備などの費用が含まれていないとして算定根拠の明示を求める。計画実施に伴う地域への経済波及効果についても「過大な期待があるように見受けられる」と指摘した。
ILC計画をめぐっては、研究者組織のILC戦略会議が23日、岩手県南部と宮城県北部にまたがる北上山地を国内候補地に選定している。