宇宙誕生の謎に迫る次世代巨大加速器「国際リニアコライダー(ILC)」の日本誘致を目指す研究グループが東 北の北上山地(岩手・宮城県)に候補地を決めたことで、今後の焦点は日本として誘致表明するかの政治判断に移る。ただ日本学術会議は「学術的意義は十分あ る」と認めながらも「時期尚早」との見解を大筋まとめている。建設には1兆円近い巨費を必要とし、不確定要素も多いなど課題は山積しており、実現への道の りは険しい。
「オールジャパンでいくか、空中分解するかは瀬戸際」。東京大学の山下了素粒子物理国際研究センター准教授は、23日開いたILC候補地一本化決定発表の会見で、こう述べた。建設に巨費をかけるILC誘致には国民の理解がなければ実現しないからだ。
ILCを建設する背景には宇宙と物質の根幹を探るという大きな狙いがある。国際プロジェクトとして2030年までに世界のどこかで完成させて宇宙創成を解明する実験を始める。