誘致前提に準備へ 県候補地決定受け本腰

岩手日日新聞

次 世代大型加速器「国際リニアコライダー(ILC)」について、物理学者らでつくる立地評価会議が23日、国内の建設候補地として北上山地(北上高地) が最適と発表したことを受け、県や民間団体、教育関係者の間にも喜びが広がった。建設に向けては多額な費用が必要とされ、日本学術会議の検討委員会が「時 期尚早」との見解をまとめる中、県は今後政府に対して誘致に向けた要望を強める一方、「ILCが来る前提でスケジュールを組む」として、受け入れ体制の準 備も本格化させる。

 県庁では、大平尚首席ILC 推進監ら担当者6人が、インターネット中継で会議による発表記者会見を見守った。 「北上」と読み上げられると「よし」という声が上がり、拍手で喜びを表した。会見が一段落すると、2000年からILC誘致に向けて業務に携わってきた大 平推進監は大きく深呼吸して安堵(あんど)の表情を見せながらも「爆発的に喜ぶかと思ったが、責任の重さを感じた。まだ道半ば」と引き締めた。

工期やコスト面などで福岡、佐賀両県の脊振山地よりも高い評価を受けたことには「地質面では、資料を作る上でもわれわれとしても欠点はなかったことから、何とかなるとは思っていた」とした。

た だ、候補地に決定したからといって、すぐにILC誘致が実現するわけではない。巨額の予算を伴うことから国は建設について態度を決めておらず、文部科 学省から審議を依頼された日本学術会議の検討委員会は建設の可否を数年かけて検討すべきとする見解を示している。これに関し、県は国に対して正式決定は先 延ばしになったとしても、各種調査や外国との予備交渉などを進めるよう求めていく方針。誘致に関して国民の理解を得られるよう、岩手からも発信していく。

一 方で「今からやらなければならないこともある」として、ILCの誘致が実現することを前提にした準備も着々と進める。具体的には、既に7月下旬に▽ま ちづくり・インフラ▽医療▽教育▽産業振興-各分野の部局横断的なワーキンググループを発足させており、課題を抽出する作業に入っている。さらに、シンポ ジウムや講演会などのPR活動も計画する。

大平推進監は「一本化されたので、あとは政府が本腰を入れて日本に誘致することを進めるよう要望する。地元でも受け入れに向けてやるべきことはたくさんあるので、抜かりなく準備していきたい」と語っている。