ILC候補地に北上山地 岩手・宮城「気を引き締め準備」

産經新聞

 ■「未来へ希望」沸く地元

国 際リニアコライダー(ILC)の国内建設候補地に研究者が北上山地を選んだ23日、岩手、宮城両県の 関係者からは「東日本大震災からの復興に弾みがつく」などと歓迎する声が上がった。候補地は北上山地の岩手県奥州市から一関市にかかる部分で、将来的には 施設が宮城県気仙沼市まで延伸される見通しだ。ただ、今回の選定で建設が始まるわけではなく、政府も誘致の是非を判断していないことから、両県は「気を引 き締めて、できる準備をやっていく」として誘致態勢の強化を図る。

岩手県庁では23日午前、ILC誘致を担当する県政策推進室の職員6人が、研究者の東京都内での記者会見をインターネット中継で見守った。全会一致で北上山地を候補地とすると発表されると、「よし」との声が上がった。

大 平尚首席ILC推進監は「ほっとした。(日本の代表となるので)責任感が大きい。復興にもつなげたい」と話した。同時に、文部科学省から意見を求められ た日本学術会議が「誘致は時期尚早」との見解を示していることを踏まえ「政府への要望活動を行っていく」と表情を引き締めた。

同日午後に は、盛岡市の盛岡商工会議所で、県国際リニアコライダー推進協議会会長の元持(もともち)勝利県商工会議所連合会会長が会見。「ILC建設の意義が広く全 国に理解され、オールジャパンの取り組みとなるよう、日本商工会議所を通じて働きかけ、政府が日本誘致の方針を決定するよう、さらなる要望活動を強力に展 開したい」との談話を読み上げ、「岩手が発展する要因になる」と喜んだ。

県政策推進室によると、研究者で構成する「ILC立地評価会議」の地質的な評価は、候補地を競い合っていた背振山地(佐賀、福岡県)の37点に対し、北上山地は63点だった。背振山地は、建設地の上に住宅地やダムがあるなど工期の長さやコスト面で課題が多かったという。

ブラジル訪問で不在の達増拓也知事は「復興に取り組む東北の人々にとって、未来への希望を感じさせる大きなニュース」とのコメントを寄せた。

建設候補地となる奥州市の小沢昌記市長は「決定は東北、そして奥州市の将来を考える上で、歴史的出来事だ」、一関市の勝部修市長は「政府がプロジェクトとして位置づけ取り組みを推進できるよう、地元自治体として役割を果たしていきたい」とのコメントを発表した。

今年1月にILC推進会議を立ち上げた岩手大の藤井克己学長もこの日会見し、地元研究機関として、トンネル掘削に対する技術協力などを行う用意があることを説明した。