世界最先端の素粒子研究施設ILC=国際リニアコライダーの候補地を検討してきたILC立地評価会議は国内に誘致する場合の建設候補地を北上山地に決定した。技術的・社会環境などの観点から評価が高く、候補地に最適としている。
総額8300億円をかけ、宇宙の成り立ちのなぞに迫る加速器「国際リニアコライダー」(ILC)を建設する計画について、国内の研究者でつくる「ILC立 地評価会議」は23日、岩手・宮城両県にまたがる北上山地が候補地として最適と判断したと発表した。ILCを推進する物理学の研究者の国際組織は今後、詳 細な設計の準備を進める。
ILCは全長31キロの直線のトンネルに設置する巨大な施設で、10年かけて建設する。建設費の半分程度を立地国 が負担するため、欧米は誘致に消極的。 国内では、建設に伴う経済効果などをあてこみ、北上山地と、佐賀・福岡両県にまたがる脊振山地の地域が誘致に名乗りを上げていた。
立地評価 会議は、技術的な観点から候補地を絞るため1月に設置され、将来の拡張を考慮した全長約50キロの直線ルートについて、両候補地の地盤の安定性や活断層、 環境保全や電力、工期やコストなどを評価。その結果、北上山地に63点、脊振山地に37点の評価点をつけた。脊振山地はトンネルのルートがダム湖や都市部 の近くを通過し、工事費が増えるリスクが最も大きな課題と判断された。