ILC誘致で2県知事が研究機関訪問

NHK

 

 

宇宙の成り立ちの解明を目指す世界最大の実験施設、ILC=「国際リニアコライダ-」を福岡県と佐賀県にまたがる山地に誘致しようと、両県の知事がスイスにある世界の物理学者が集まる研究機関を訪れ、固い岩盤など適した候補地であることをアピールしました。

ILC=「国際リニアコライダ-」は、長さ30キロの直線のトンネルの中で、極めて小さな粒子どうしを衝突させて宇宙が誕生した直後の状態を再現し、宇宙の成り立ちの解明を目指す世界最大の実験施設で、日本など4か国が候補地に名乗りを上げています。
日 本の候補地は、福岡県と佐賀県にまたがる「脊振山地」と、岩手県の北上山地の2か所あり、このうち「脊振山地」への誘致を目指す福岡県の小川知事と佐賀県 の古川知事が、13日、スイス・ジュネーブ郊外にある世界の物理学者が集まるCERN=ヨーロッパ合同原子核研究機関を訪れました。
この研究機関の物理学者たちは計画に大きな影響を与えるとされ、2人の知事は、ロルフ・ホイヤー所長などと会談し、脊振山地は建設に適した固い岩盤である ことに加え、空港や教育施設なども充実して研究者が生活しやすいことなど、適した候補地であることをアピールしました。
ILCを巡っては、ことし7月までに国内の候補地が一本化される見通しで、その後、各国による協議で最終的な候補地が決まり、2020年代半ばの完成を目指すということです。

4か国が候補地に名乗り

ILC=国際リニアコライダーは、宇宙の成り立ちの解明を目指す世界最大の実験施設で、世界の物理学者たちが中心になり、国際的な協力で世界のどこか1か所に建設することを目指しています。
国際リニアコライダーのリニアは「直線」という意味で、地下に長さ30キロの直線のトンネルを建設します。
「コライダー」は「加速器」という意味で、トンネルの両端から、それぞれ「電子」と「陽電子」という極めて小さな粒子を発射して、光に近い速度まで加速します。
そして、トンネルの中央部分で「電子」と「陽電子」を正面衝突させて、宇宙が誕生したビッグバンの直後の状態を再現し、衝突によって生み出される粒子の中に、私たちがまだ知らない新たな粒子が含まれていないか、探し出す計画です。
私たちのような生命も含め、この宇宙を作り出している最も基本的な粒子を調べる素粒子物理学の研究は、この半世紀の間に大きく進んでいますが、去年、「ほぼ発見」とされたヒッグス粒子を含めても、これまでに人類が発見したものは、宇宙全体の僅か4%にすぎません。
実は、まだ多くの粒子が見つかっていないとみられ、これまで以上に大がかりな実験装置を作って、宇宙の成り立ちの解明を目指そうという機運が、世界の物理学者の間で高まっています。
スイスには、去年、ヒッグス粒子をほぼ発見した1周27キロの巨大な円形の加速器がありますが、円形の場合、進むたびに粒子のエネルギーが失われてしまう問題があり、世界の科学者たちは、直線のトンネルを造ることで理想的な実験を行いたいと考えています。
ILCを巡っては、日本をはじめ、スイス、アメリカ、ロシアの世界4か国が候補地として名乗りを上げ、日本では、福岡県と佐賀県にまたがる「脊振山地」と、岩手県の「北上山地」の2か所が名乗りを上げています。
ILCは、建設費がおよそ8000億円とされ、誘致する国がその半分を負担することが想定されています。
実験施設の運用が始まると、世界中から常時、数千人の研究者が集まり、家族も含めておよそ1万人が滞在することになるとみられ、毎年およそ600億円の経済効果があると見込まれています。

福岡知事「整備進めれば期待大」

会談と研究施設の視察を終えた福岡県の小川知事は、「脊振山地の周辺は、今の段階でも研究者やその家族が安全・安心・快適に暮らすことが可能だが、今回伺った意見を参考にさらに整備を進めていけば、計画の誘致は大いに期待できるのではないか」と述べました。

佐賀知事「よい例確認でき収穫」

会談と研究施設の視察を終えた佐賀県の古川知事は、「計画の誘致が実現したときに、どのような準備が必要になってくるのかを考えていくうえで、CERNというとてもよい例を自分たちの目で直接確認できたことが収穫として大きかった」と述べました。