ILC誘致正念場 説得力こそ欠かせない

岩手日報

 

 

 本県が目指す国際リニアコライダー(ILC)誘致が正念場を迎える。国内候補の北上山地と九州・脊振(せふり)山地の一本化が7月に迫った。

 一本化は研究者8人によるILC立地評価会議が行う。地質などの技術評価が既に進み、外国人が暮らす環境など社会基盤の評価は地元の提案が鍵を握る。

 決定時期は参院選後の7月末とみられる。少ない時間の中、産学官でつくる東北ILC推進協議会を中心にできる限りの努力をしたい。

 九州も佐賀、福岡両県の行政や経済界による活動が本格化している。誘致合戦の形にすべきではないが、各分野で東北の優位性を示すことが大事だ。

 北上山地は地盤の強さが証明され、施設を造る上で脊振山地に比べてなだらかな地形の評価も高い。道路や鉄道、電力のインフラや仙台、盛岡の都市基盤も劣らない。

 1万人もの外国人研究者、家族の居住環境と教育、医療体制の整備が課題になる。インターナショナルスクールの設置を達増知事が県主導で進める姿勢を示したように、今から準備する必要がある。

 ILC建設は技術設計を終え、研究者の新組織もできて国際的には走り始めている。欧州は日本への立地を歓迎すると表明し、他に具体的な誘致の動きはない。

 研究者は「手を挙げれば間違いなく日本に来る」と口をそろえる。諸情勢を見ると、わが国がリーダーシップを発揮すれば、日本立地は動かないとみられる。

 だが政府は誘致を表明していない。建設費約8千億円の半額程度という重い負担を強いられるためだ。先進国で最悪の財政難の中、慎重な姿勢は当然とも言える。

 文部科学省は省庁横断のチームをつくり議論を始めたが、政府内には「各国に対する研究の『場所貸し』になりかねない」と費用対効果を疑問視する声もあると聞く。

 こうした状況で誘致を進める地元は、より説得力のある活動が欠かせない。立地が夢でなくなった以上、現実性のある精緻な計画で政府を突き動かすことが重要だ。

 東北ILC推進協は誘致機運を高めるため東京で集会を開くことを決めた。それ以外にも、あらゆる機会を捉えて国民にアピールしたい。

 誘致活動は岩手と宮城が中心で、東北全体の認知度はまだ低い。他の4県での説明会開催などで理解を深めてもらい、東北一丸の取り組みを強めなければならない。

 当面は安倍政権が6月にまとめる成長戦略に盛り込まれるかどうかがポイントになろう。ILCは科学立国の日本、震災復興の東北に必要だと説得力を持って訴えたい。