「からつ塾」9年 日中韓関係や生命倫理学

佐賀新聞

 

 

江 戸時代、唐津の村々には庄屋らが塾主となった郷塾(民間塾)が開かれ、農家の子弟や藩士が幅広い学問を学んだ。その現代版として「からつ塾」(碇宏八 郎代表)が開講して9年。本年度も日中韓関係や生命倫理学など現代社会が直面する課題から、地域の力を引き出す地元学まで、多彩な学びの場を提供する。

「からつ塾」は元唐津市近代図書館長の碇さんや福岡大教授の大嶋仁さんらが2004年設立。読み、書きやそろばんを教えた寺子屋ではなく、数学である和算や天文学など、教養となる「生きた学問」を教えた郷塾のような場をとの思いだった。

以 来、宇宙創生を研究テーマとする物理学者の佐治晴夫さん、昆虫写真家の栗林慧さん、「和解のために」で大佛次郎論壇賞を受賞した韓国・世宗大教授の朴 裕河さんら話題の人たちを招へい。ノーベル物理学賞の益川敏英さんを招いた時は、市民会館が1200人の市民で埋まった。

21日、伊能忠敬研究会名誉代表の渡辺一郎さんを招く4月例会が89回目となる。毎回大人2千円、大学生以下千円の会費制だが、運営は厳しく、大嶋さんら運営委員が無償で講義し、その分を他の講師の謝礼や旅費に回してきた。

また当初は40人前後の参加者があったが、最近は20~30人程度。大学など高等教育機関がない唐津で、自治体の職員や教師など社会人向けの講座とする狙いもあったが、参加者数は伸び悩む。

運営面での課題を抱えるが、来年1月で10周年を迎える上、国際リニアコライダー誘致に関連して、宇宙の仕組みなど自然科学を学ぶ場としても存在意義は高まる。体制強化のため今回、運営委員を19人に増やした。

碇さんは「最近の世相を見ていると、自分で考え、判断することが希薄になっている」と危惧を語り、「自ら学ぶという喜びを感じられる場にしていきたい」と話す。