ILC立地条件 スイスに学ぶ 岩手推進協、加速器を視察

河北新報

 【ジュネーブ久道真一=報道部】岩手県南部の北上山地に超大型加速器・国際リニアコライダー(ILC)の誘致を目指す「岩手県ILC推進協議会」は11日、スイス・ジュネーブの欧州合同原子核研究所(CERN)を訪れ、世界最大の加速器LHCなどを視察した。
協議会の会員ら約30人が参加した。万物に質量を与えたとされるヒッグス粒子とみられる物質の発見に大きな役割を果たしたLHCの巨大検出器「アトラス」を見学。アトラス実験に参加する東大や高エネルギー加速器研究機構の研究者らと、生活環境などについて意見交換した。
一行は12日も視察を行い、LHCの元責任者で、ILCの国際推進組織「リニア・コライダー・コラボレーション」代表のリン・エバンス氏と面会する。CERNの研究者とその家族らが多く住むフランスのフェルネー・ボルテール市も訪問する予定。
協議会の元持勝利会長(岩手県商工会議所連合会長)は「研究者が(ILCの立地地域に)どんなことを望んでいるのかを学ぶ。CERN周辺のまちづくりの様子も見学し、誘致に生かしたい」と話した。
ILCは国際協力で世界に1カ所造る。日本への建設が有力視されており、研究者らは今夏までに、国内候補地に挙がっている北上山地と九州の脊振山地の一本化を目指している。