ILC誘致 観光の相乗効果も

岩手日日新聞

平泉で講演会

平 泉町役場で19日夜、素粒子物理学の研究施設である次世代加速器・国際リニアコライダー(ILC)の誘致へ向けた機運醸成を目的とする講演会が開かれ た。東北大大学院理学研究科物理学専攻助教の石川明正氏が講演し、北上山地(北上高地)が建設候補地となっているILCの誘致には、政府に対する地方自治 体の働き掛けが必要不可欠だとした。

「ヒッグス粒子と国際リニアコライダー」と題して講演した石川氏は、物質に質量を与えるヒッグス粒子や、ILC計画の目的と仕組み、計画をめぐる国内外の動き、誘致に伴う波及効果などについて解説した。

ヒッグス粒子とみられる新粒子の発見については、素粒子の基本法則「標準理論」で示された粒子の中で唯一見つかっていなかった粒子が発見されたことになるが、石川氏は「(物理学の)新たな始まり」と紹介。

この新粒子を観測した欧州合同原子核研究機構(CERN)にある加速器LHCと比べ、はるかに精度が高いILCでヒッグス粒子を調べることで「(標準理論では解明できない)暗黒物質の謎が分かるかもしれない」と述べた。

ILC 計画をめぐっては、米国やロシアなどが誘致に動いているが、研究者間では日本への建設を支持する声が多いという。国内では北上山地と九州の脊振 (せふり)山地が候補地に挙がっており、7月の国内候補地一本化に向け「九州も東北もすごい勢いで誘致活動が進んでいる。研究者ができるのは学術的なこと のみ。科学研究費だけでは賄えないものすごい予算のプロジェクトであり、震災復興と絡めて予算を勝ち取るなど地方自治体が政府に働き掛けてほしい」などと 呼び掛けた。

その上で、ILCには素粒子物理学を発展させるだけでなく、新技術の応用や高度最先端産業の集積、地域の知的レベルの向上など多分野への波及効果があると説明。

特にスイス・ジュネーブ近郊にあるCERNでは、大型バスで毎日のように研究施設を見学する「科学観光」が成り立っていることに触れて、「平泉は観光資源の相乗効果を狙える」とも述べた。

講演会は約40人が聴講。「もしILCが誘致されたら自分が携われることはないか」「私たちは何をしたら誘致できるか」などと関心を寄せていた。