風土計

岩手日報

霞が関の中央官庁を取材していると、官僚の抜群に速い頭の回転に舌を巻く。半面、あれっと思う一言でペンを持つ手が止まることがある

▼「今の大臣は、そう言っていますね」。これを聞いたときがそうだった。「今の」がポイントだろう。大臣はころころ代わる。人が代われば言うことも変わる。いちいち付き合っていられない。心の奥底に沈めた本音が思わず浮かんだ瞬間か

▼この一言は、復興道路の完成時期に関する問いへの答えだった。当時の国土交通相は「10年後をめど」としていた。次の大臣は「7年ぐらい」と前倒しした。今は震災後はや4人目の大臣になる

▼復興道路の一部、盛岡市の「簗川道路」が10日開通する。国は整備加速のため宮古、釜石に生コン施設も造る。取り組みは歓迎するが、時の政治でどう転ぶか分からない世界だ。こと復興に関する限り、人が代わっても国の方針は引き継がれると信じたい

▼安倍晋三首相が施政方針で加速器開発を強力に進める考えを示した。下村博文文部科学相も既に国際リニアコライダーの日本誘致を明言している。その姿勢に候補地の本県は敬意を表したい

▼財政負担を嫌う官僚の苦虫をかみつぶしたような顔が浮かぶ。でも行政トップの言葉が軽いのは、もう終わりにしたい。「今の大臣は」のせりふを言わせないように。