超大型加速器「国際リニアコライダー(ILC)」の岩手県南部・北上山地への誘致に向け、宮城、山形両県で今月、ILCのセミナーが相次いで開かれる。今夏に予定される国内候補地の一本化を前に、候補地の岩手とともに東北全体で誘致機運を盛り上げる。
宮城県と仙台市、県内経済団体などは28日午後1時半、県庁2階講堂で開く。定員300人。宮城県内関係者のみで主催するセミナーは初めて。ILCの概要や地域経済への経済波及効果などを、高エネルギー加速器研究機構の吉岡正和名誉教授らが講演する。
誘致をめぐり、村井嘉浩知事は1月、被災4県による国への要望活動で、ILCを「世界に向けた復興プロジェクト」と位置付け、実現を訴えた。宮城県震災復興政策課は「県内の人にもILCを知ってもらい、東北として誘致を進めたい」と話している。
産学官でつくる東北ILC推進協議会なども13日午後1時、山形市のホテルメトロポリタン山形で山形県内初のセミナーを開く。定員150人。山下了東大素 粒子物理国際研究センター准教授と臼杵毅山形大理学部教授が、ILCや東北の7国立大が誘致を目指す大型放射光施設について話す。
ILCは地下トンネルに設置する全長31~50キロの線形加速器。国際協力で世界に1カ所造る。建設費約8300億円。経済波及効果約4.3兆円、雇用創出約25万人とされる。