ヒッグス粒子解明を ILC必要性強調

佐賀新聞

佐賀市 佐賀県が脊振山地に誘致を目指している国際リニアコライダー(ILC)をテーマとした基礎科学の講演会が18日夜、佐賀市のアバンセであった。大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構の野崎光昭教授が「ヒッグス粒子は新しい物理法則の玄関口」として、解明に使うILCの必要性を訴えた。

約180人が参加。野崎教授は「宇宙の謎はたくさん残っている。素粒子のことが分かると、宇宙の最初が分かる」として、ヒッグス粒子の解明が「素粒子物理学の次の最重要課題」と強調した。

講演後の質疑応答では、「いつごろ着工するのか」「政府は前向きなのか」などの質問があった。野崎教授は「(着工は)あと2、3年見てほしい」と答え、政府の姿勢については、「誘致に前向き。事業費が半端な金額ではないので、どう工面するか答えが見つかっていないようだ」と応じた。

ILCは、全長31~50キロの地下トンネルに建設する直線型加速器を中心とした研究施設。電子と陽電子を光に近い速さで正面衝突させ、宇宙誕生直後と同じ程度の高エネルギー状態を作り出す。