電子ビームの太さ70nmを達成 ―次期リニアコライダーに貢献へ

つくばサイエンスニュース

高エネルギー加速器研究機構は1月9日、電子ビームの太さを垂直方向で70nm(ナノメートル、1nmは10億分の1m)に絞ることに成功したと発表し た。光速近くに加速した電子と陽電子を衝突させて物質を構成する基本粒子の謎に迫ろうという国際リニアコライダー(ILC)構想が国際協力で進んでいる が、ビームを絞るのはその実現に欠かせない技術。最終的に40nm以下にすることが目標で、今回の成果はその第一歩という。

リニアコライダーは、直線状の粒子加速器で、国際構想では全長30kmを超える直線状に超伝導磁石を並べた加速器で、電子と陽電子を効率よく加速する方 式が考えられている。電子・陽電子ビームをナノメートル単位に絞るのは、加速した電子と陽電子を効率よく正面衝突させるために必要だからだ。

高エネ研は、所内の加速器研究施設の研究者を中心に国際共同実験に取り組んだ。実験では国際構想と同じ方式で電子ビームを収束させる技術開発に取り組 み、昨年秋から7週間実験を続けた。その結果、約70nmのビームサイズを実現できたという。ただ、このサイズには誤差も含まれる可能性があるため、今 後、詳細な評価を行うことにしているが、100nmより細く絞れたことは確実とみている。

次期大型加速器としてリニアコライダーを実現しようという計画は、1990年代から日本や欧州、北米でそれぞれ独立に検討されてきたが、2004年に一本化されて国際リニアコライダー構想として国際協力で実現を目指すことになっている。