ILC技術の確立 国際研究グループが設計報告書を発表

全長約30~50キロに及ぶ超大型の直線形加速器「国際リニアコライダー(ILC)」の実現を目指す研究者の国際グループは15日、加速器の詳細な 内容を まとめた「技術設計報告書(TDR)」を発表した。世界最高の性能を持つ加速器技術の確立で、ILC計画は大きな節目を迎えた。岩手県南部の北上山地が候 補地の一つに挙がっている。

報告書には、2007年発表の基本設計書を踏まえ、2000人を超す世界の研究者が進めた低コスト化と性能の向上、加速器本体の生産技術などが盛り込まれた。

当初2本だった地下トンネルを1本に改良し、建設費を抑制。電子・陽電子ビームを安定させる「減衰リング」は円周6キロから3キロに短縮し、同等の性能を確保した。

東京・秋葉原で15日にあった発表会で、国際共同設計チーム責任者のバリー・バリッシュ氏(米国)は「この5年間、コストや性能などの課題解決を目指した。建設開始の技術的な準備は完了した」と話した。

設計チームと上部組織のILC運営委員会は来年2月に解散し、新たな推進組織に移る。8000億円とされる建設費は精査中。来年6月にコストを含む正式な報告書を出版する。報告書を各国政府に提案し、政府間協議を経て、15年ごろの建設地決定を目指す。

ILCは電子と陽電子を衝突させ、質量や宇宙の起源などを探る。世界に1カ所建設し、現在は日本での建設が有力視されている。国内の候補地は北上山 地のほ か、九州の脊振山地の計2カ所。研究者グループは来年7月の一本化を目指し、自治体や大学などと地質調査を実施している。