深層断面/次世代巨大加速器、成るか日本誘致-秋以降の政治判断に焦点

日刊工業新聞

  宇宙誕生の謎に迫る次世代巨大加速器「国際リニアコライダー(ILC)」の日本誘致を目指す研究グループが東 北の北上山地(岩手・宮城県)に候補地を決めたことで、今後の焦点は日本として誘致表明するかの政治判断に移る。ただ日本学術会議は「学術的意義は十分あ る」と認めながらも「時期尚早」との見解を大筋まとめている。建設には1兆円近い巨費を必要とし、不確定要素も多いなど課題は山積しており、実現への道の りは険しい。

 「オールジャパンでいくか、空中分解するかは瀬戸際」。東京大学の山下了素粒子物理国際研究センター准教授は、23日開いたILC候補地一本化決定発表の会見で、こう述べた。建設に巨費をかけるILC誘致には国民の理解がなければ実現しないからだ。

 ILCを建設する背景には宇宙と物質の根幹を探るという大きな狙いがある。国際プロジェクトとして2030年までに世界のどこかで完成させて宇宙創成を解明する実験を始める。

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次世代加速器、北上山地が候補に 宇宙誕生の謎、東北で挑む

日経産業新聞

宇 宙誕生の謎に迫る次世代の巨大加速器「国際リニアコライダー(ILC)」計画を推進する研究者組織は23日、国内建設候補地を北上山地 (岩手・宮城両県)に決めたと正式発表した。今後は日本政府が国内誘致に乗り出すかが焦点。建設費8300億円と巨額なだけに慎重な意見も強いが、具体化 すれば日本企業の活躍が期待される。

全文は日経産業新聞8月26日付に掲載しています。

【巨大加速器「国際リニアコライダー(ILC)」誘致】 多数残る不確定要素 研究者は前進に期待

共同通信

建 設に8300億円を要する巨大加速器「国際リニアコライダー(ILC)」の国内候補地は、激しい誘致合戦の末に岩手・宮城両県の北上山地に軍配が上 がった。今回の選定によって計画が前進すると研究チームは期待するが、文部科学省は「参考にする」と突き放した姿勢を崩さない。費用の分担などに不確定要 素は多く、計画が実現するかも見通せない。

▽明暗

「割り切れない気持ちだ」。佐賀県庁で 古川康 (ふるかわ・やすし) 知事は悔しさをにじませた。一方、岩手県庁では担当職員が「復興にもつなげたい」と笑顔を見せ、明暗を分けた。

国内候補地は2010年に北上山地と佐賀・福岡県境の 脊振 (せふり) 山地の2カ所に絞り込まれ、それ以来、地元自治体や経済界は誘致を競っていた。

23日、発表会場の東京大。九州のメディアを中心に、脊振山地が漏れた理由に質問が集中した。

チームは、工事のしやすさなど主に技術的な評価で大きな差がついたと強調。トンネルへのアクセスのしやすさなどの違いによって、工期に最大で数年の差が出るとの試算も例示したが、落選の大きな要因とされたダム湖の名前を会見で公表しないなど歯切れの悪さも目立った。

チームは「重要なのは、なぜこういう評価になったのかを地元に理解してもらうこと」とするが、会見では地元の了解が得られていないことを理由に説明を拒む場面も多々あった。「ダム湖の存在は最初から分かっていたはずだ」などと反発する九州側の理解を得ることは難しそうだ。

▽負担80%

ILCは欧州合同原子核研究所(CERN、スイス)の円形加速器LHCの後継機。LHCが昨年、万物の重さのもととなるヒッグス粒子を発見したため、ILCの注目度も一気に高まった。

技術的にも難度は高いが、最もネックとなっているのは巨額な費用。人件費などを含めると1兆円を超える。日米欧などでどう分担するかは白紙のままだ。

予算に余裕のない米国や欧州も政府レベルで参加を決定しておらず、世界の研究チームは日本の誘致を当てにする。一方、日本学術会議は「日本の負担が80%以上となる可能性もあり、他分野の研究予算を圧迫しかねない」と警戒を強める。

文科省の依頼を受けて審議した学術会議は「現時点での誘致は認められない」との方針とみられ、政府が誘致するかどうかを判断するまでに数年はかかるとの見方が強まっている。

誘致前提に準備へ 県候補地決定受け本腰

岩手日日新聞

次 世代大型加速器「国際リニアコライダー(ILC)」について、物理学者らでつくる立地評価会議が23日、国内の建設候補地として北上山地(北上高地) が最適と発表したことを受け、県や民間団体、教育関係者の間にも喜びが広がった。建設に向けては多額な費用が必要とされ、日本学術会議の検討委員会が「時 期尚早」との見解をまとめる中、県は今後政府に対して誘致に向けた要望を強める一方、「ILCが来る前提でスケジュールを組む」として、受け入れ体制の準 備も本格化させる。

 県庁では、大平尚首席ILC 推進監ら担当者6人が、インターネット中継で会議による発表記者会見を見守った。 「北上」と読み上げられると「よし」という声が上がり、拍手で喜びを表した。会見が一段落すると、2000年からILC誘致に向けて業務に携わってきた大 平推進監は大きく深呼吸して安堵(あんど)の表情を見せながらも「爆発的に喜ぶかと思ったが、責任の重さを感じた。まだ道半ば」と引き締めた。

工期やコスト面などで福岡、佐賀両県の脊振山地よりも高い評価を受けたことには「地質面では、資料を作る上でもわれわれとしても欠点はなかったことから、何とかなるとは思っていた」とした。

た だ、候補地に決定したからといって、すぐにILC誘致が実現するわけではない。巨額の予算を伴うことから国は建設について態度を決めておらず、文部科 学省から審議を依頼された日本学術会議の検討委員会は建設の可否を数年かけて検討すべきとする見解を示している。これに関し、県は国に対して正式決定は先 延ばしになったとしても、各種調査や外国との予備交渉などを進めるよう求めていく方針。誘致に関して国民の理解を得られるよう、岩手からも発信していく。

一 方で「今からやらなければならないこともある」として、ILCの誘致が実現することを前提にした準備も着々と進める。具体的には、既に7月下旬に▽ま ちづくり・インフラ▽医療▽教育▽産業振興-各分野の部局横断的なワーキンググループを発足させており、課題を抽出する作業に入っている。さらに、シンポ ジウムや講演会などのPR活動も計画する。

大平推進監は「一本化されたので、あとは政府が本腰を入れて日本に誘致することを進めるよう要望する。地元でも受け入れに向けてやるべきことはたくさんあるので、抜かりなく準備していきたい」と語っている。

国際リニアコライダー:北上山地、建設候補 ILCに高まる期待 「震災復興にも効果」 /宮城

毎日新聞

23 日、宇宙誕生の謎に迫る超大型加速器「国際リニアコライダー」(ILC)の国内建設候補地に岩手・宮城両県の北上山地が選ばれたことを受け、大学や自治 体、経済団体などでつくる「東北ILC推進協議会」(99団体)は記者会見し、「東日本大震災からの復興にも効果がある」との見方を示した。

北上山地のILC計画では、岩手県奥州市・一関市から気仙沼市までの50キロの地下トンネルを建設。同会などは、工事や新産業の創出のほか、国内外の研究者が集まる国際研究都市の誕生などを想定し、国内経済波及効果4・3兆円を見込む。

こ の日の会見で、同会代表の里見進・東北大学長は「世界を革命的に変える研究成果」への意欲を語った。 一方、8300億円以上とされる建設費に対しては「未来の子供に夢を作る大きな仕事」と国を挙げて予算確保などを進める必要性を訴えた。同代表の高橋宏 明・東北経済連合会会長は他国との費用負担交渉を必要とした。

一方、村井嘉浩知事は記者団に「財源は国内外から集めなければならず、岩手県を中心にして政府に働きかける。しかし、自治体の財政負担は無理」として、県は研究者らの住居やインフラ整備で協力する考えを示した。

気仙沼市の菅原茂市長も記者団に「関連産業立地に伴う経済波及効果のほか、地域活性化、人材育成など各分野への寄与が期待できる」と歓迎。建設される際、同市は、海上輸送や一次組み立ての拠点、各国研究者の居住区になることなどが期待されている。

また、日本への誘致そのものが決まっていないことについて菅原市長は、「宮城、岩手両県や一関市、奥州市など関係団体と一体となり、誘致活動を展開していきたい」と述べた。

次世代加速器の「悲願」官民で歓迎 候補地、東北に一本化

日本経済新聞

  日本の研究者らが23日、次世代加速器「国際リニアコライダー(ILC)」の建設候補地を東北の北上山地(岩手、宮城県)に一本化したことで、東北では歓 迎ムードが一気に広まった。関係者は地理的な優位性に加え、東日本大震災からの復興を強調した誘致活動が一定の成果をあげたとみている。 最終的な決定はこれからだが、誘致の具体的な準備が今後、加速する。

 「20年来の悲願が達成された」。かつて岩手 県職員として誘致にかかわった勝部修・一関市長は感慨深げに振り返った。岩手県の達増拓也知事 も「東北の人々にとって、未来への希望を感じさせる大きなニュース」とコメント。岩手県ILC推進協議会の元持勝利会長も「東北の復興加速に大きな意味を 持つ」と述べた。

 岩手県によると、誘致を競った九州・脊振山地に比べ、北上山地は「工期・コスト」面で勝り、地質面の評価が北上山地63対脊振山地37と大差だったとされる。宮城県の村井嘉浩知事も「(今後、政治力で九州になる可能性は)ないと思う」と強調した。

  東北ILC推進協議会はILCの建設開始から30年で4兆3000億円の経済波及効果が生まれ、25万人の雇用を生むと試算する。この日、 福島県郡山市で開かれた講演会でも吉岡正和東北大・岩手大客員教授は、原子核物理学や超電導、がん治療機器などの研究の突破口としての役割に言及。「自動 車や日用品など生活密着産業への活用も進む」とした。

 村井知事は「米国のシリコンバレーのような新たな産業を興せ る都市を構築できれば、東北発の産業が日本、世界を動かしていく」と将来像を描く。その実現へ、岩手県も「最終的な建設決定は数年先になっても、事前にで きる準備作業に取りかかる」(大平尚・首席ILC推進監)という。

 まず環境アセスメントの事前調査に着手する。7 月に設置した「医療」「教育」「まちづくり」「産業振興」のワーキンググループも始動。例え ば、研究に関連して海外から訪れる外国人研究者の家族などを考慮して、外国人子弟の教育のためにインターナショナルスクールを造るのか、通常の小中学校で 受け入れるのかなどの検討を行う。

 研究者へのサポート体制の検討も不十分とされ、地元と協力した支援体制づくりが急がれる。国際間の費用負担などでも課題が残る。東北ILC推進協議会代表を務める里見進・東北大総長は「オールジャパンで誘致したい」と強調している。

国際リニアコライダー:候補地、北上山地に決定 自治体や経済団体、祝福 実現へなお課題山積 /岩手

毎日新聞

  「国際リニアコライダー」 (ILC)の国内建設候補地として北上山地が決まったことを受け、誘致に取り組んできた自治体や団体は喜びを表し、奥州市などでは祝福の横断幕を掲げた。 ただ、巨額な建設費への懸念から政府は誘致を決めておらず、建設実現はまだ遠い。誘致活動の強化や、ILCの意義について広く国民の理解を深める取り組み が必要だとの声も上がっている。【金寿英、浅野孝仁】

構想では、奥州市から一関市、宮城県気仙沼市に至る地下100メートルに、全長31〜50キロの素粒子実験施設を建設する。建設費は10年間で約8300億円に上る見通し。

候 補地のライバルだった九州の脊振(せふり)山地と比べ、北上山地は地形が優位で、地上から加速器につ ながるトンネルを短くでき、地下水の排水も容易など、工期の短縮が可能。近くにダムがないなどで許認可手続きも少ないと見込まれ、候補地を選定したILC 戦略会議は「技術的観点で北上山地は大きく優位」と結論付けた。ただ、外国人の研究者や家族の受け入れの面では、大都市の福岡に近い脊振山地に軍配を上げ た。

経済団体などで組織する県ILC推進協議会の元持(もともち)勝利会長は「国内外の研究者らが集まり、 経済の活性化や人材育成につながる」と歓迎。同協議会の玉山哲(さとし)理事は「経済効果は70兆円という試算もある」と期待する。一関市も市役所に「祝  ILC国内候補地 北上高地に決定」と書いた横断幕を掲げた。勝部修市長は「ILCは世界の財産。岩手には(世界遺産の)平泉という財産もある。二つを 街づくりに生かしたい」と語った。

一方、日本学術会議の検討委員会は今月6日、建設費や研究者確保に課題が残るとして「誘致は時期尚早」 との見解を表明。県の大平尚(おおだいらひさし)首席ILC推進監は「誘致に対する責任も感じる。追加の地質調査などを進め、国に建設を要望する」と語っ た。金ケ崎町の高橋由一(よしいち)町長は「今回の評価は最終決定ではない。政府への働きかけなどに岩手、宮城両県や関係市町村と取り組みたい」と慎重姿 勢を示した。

岩手大学の藤井克己学長は「科学技術の予算が限られる中、全ての科学者の間でILCの優先度は高くない。基礎科学を育てるうえでもILCが必要だと、オールジャパンで理解を深める努力が必要」と指摘した。

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 ◇ILC誘致を巡る動き◇

1991年   高エネルギー加速器研究機構(KEK)などの地質調査に協力開始

2003年   県が北上山地周辺の地質を独自調査

2009年4月 東北経済連合会、東北大学などと「東北加速器基礎科学研究会」を設立

2011年6月 東日本大震災を受け、県は復興のシンボルとして「国際科学技術研究特区」構想を国の復興構想会議で提言

2012年4月 県ILC推進協議会発足

2013年1月 建設候補地選定のILC立地評価会議設置

2013年4月 県ILC推進協議会がスイスの欧州合同原子核研究所(CERN)を視察

2013年8月 北上山地が建設候補地に選ばれる

ILC候補、脊振外れる コストがネック 

佐賀新聞

巨 大加速器「国際リニアコライダー(ILC)」の計画を推進する日本の研究者らは23日、国内の建設候補地に岩手、宮城両県にまたがる北上山地を選んだ と発表した。誘致に名乗りを上げていた佐賀、福岡両県の脊振山地は、ダム湖や都市部の下を通過する点がネックになり、北上山地に比べてコストと工期がかさ むと判断された。

研究者でつくる「立地評価会議」の共同議長を務める九州大の川越清以教授、東北大の山本均教授らが東京大で会見し、選定理由や経緯を説明した。

同会議は加速器を納める約50キロの直線トンネルを建設できるかなどの「技術的観点」と、世界から集まる研究者や家族が快適に活動できる環境が整うかの「社会環境」の観点から評価を進め、全会一致で「北上山地が最適」と結論づけた。

選考では、社会環境の評価は脊振山地がやや優位だったが、技術評価で下回った。項目ごとの評点をまとめた結果は、技術評価(100点満点)が北上の68点に対し、脊振は46点にとどまった。

脊振山地については、トンネルが北山ダムと嘉瀬川ダム、唐津市の一部市街地の下を通る点がリスク要因とされた。さらに、地形の関係で地上から地下までのアクセストンネルが北上山地よりも長くなり、コストの高さや工期の長さ、排水の難しさも指摘された。

川越教授は選定結果について「十分な自信をもっている」と述べた。今後は、北上山地に合わせて具体的な設計に移る。

た だ、文部科学省は今回の結果を「参考」にとどめる考えで、誘致の是非や候補地はあらためて判断するとしている。文科省から、日本に誘致するべきか学術 界の意見を聞かれた日本学術会議は、巨額な費用の分担など不確定な要素が多く、「誘致は時期尚早」とする見解をまとめている。

【評点】(100点満点)

▽技術評価

北上山地 68点

脊振山地 46点

▽社会環境基盤評価

北上山地A 60点

北上山地B 51点

脊振山地A 63点

脊振山地B 55点

※必須要件は満たした上で、プラスアルファの部分を点数化。社会環境基盤評価は、それぞれ2カ所(A、B)を想定した。

古川知事、「割り切れぬ」 ILC誘致問題

佐賀新聞

研 究者グループが国際リニアコライダー(ILC)の国内候補地に北上山地(岩手、宮城)を選定した23日、脊振山地への誘致活動を進めてきた古川康知事 や推進協議会の関係者からは「残念」という声とともに、「まだ納得できない」「詳しい説明を聞きたい」と直接説明を求める声が相次いだ。古川知事は「これ で終わったとは思っていない」と述べ、研究者から説明を聞いた後、誘致活動を継続するかどうか判断する考えを示した。

古川知事や佐賀、唐 津、神埼3市の誘致推進協議会のメンバーらが県庁に集まり、結果発表をインターネット中継で見守った。研究者が「全会一致で、次の結論に至った」と話す と、古川知事は身を乗り出した。「北上を最適と評価する」-。脊振の“落選”に、知事は腕を組み、口を真一文字に結んで悔しさをにじま せた。

選 定理由を聞きながら、時折、首をかしげていた古川知事は報道陣に「一言で言うと残念。結果は尊重しなくてはならいと思う」としつつ、「今は割り切れな い。厳しい基準に基づく断層の調査を受けているのは九州だけ。活断層の有無について、同等の条件だったのか尋ねたい」と率直な感想を述べた。近く研究者か ら説明を受ける場を設け、疑問点をただす。

誘致事業については「これで終わったとは思っていない」と話し、事業継続の是非は「研究者の説明を聞いた上で判断する」とした。

唐 津商工会議所の宮島清一会頭も県庁で中継を見守り、「脊振と北上の活断層調査の精度の差や地震に対する評価など、この評価でいいのかという思いはある」と 納得しきれない表情。神埼市商工会の古賀義治会長は「経済効果や地域の街づくり、教育レベルの向上など10年、15年先までの期待もあっただけに残念」と 声を落とした。

有志で脊振山地への誘致を求める署名を35万人分以上集めた福岡市の原啓介さんは「厳しい状況になったのは間違いないが、これが正式決定ではない」と政府判断に望みをつないだ。

ILC研究を20年続け、評価会議の委員を務める佐賀大理工学部の杉山晃教授は「残念だったが、科学的観点からの結論であり、謙虚に受け止めないといけない。まだ、ILC計画そのものが実現するか分からない段階で、引き続き努力したい」と計画実現に向けて気を引き締めた。

国際リニアコライダー:ILC候補地、選考はずれる 誘致関係者ら落胆 知事「科学への気づき」に意義 /佐賀

毎日新聞

 「佐賀にILCを呼ぶことはできなかったか……」。宇宙誕生の謎に迫る超大型加速器「国際リニアコライダー」(ILC)を巡り、計画を推進する研究者組織が国内建設候補地を正式発表した23日。候補地が岩手・宮城両県の北上山地に決定すると、佐賀・福岡両県の脊振(せふり)山地への誘致を目指してきた佐賀の関係者からは落胆の声が上がった。【田中韻】

古川康知事をはじめ県の担当職員、県内に四つあるILC推進協議会の関係者らは県庁の一室で、研究者組織の記者会見の様子をネット中継で見守った。

唐 津推進協議会の宮島清一会長は「ILCは非常に精密な研究で、どこでもできるものではない。佐賀に呼 べないのは残念」と肩を落とした。今年2月に協議会を発足させ、唐津市内で講演会を主催するなど、市民啓発に取り組んできた。宮島会長は「ILCによる経 済効果より、知的財産の裾野が広がることに意義がある。九州での実現は遠のいたが、国内でできるよう応援したい」と切り替えた。

また、古川知事は報道陣の取材に「今回のILC誘致は、科学に対するいい気づきを与えてくれた。県民に科学への理解を求める活動を続けていきたい」と述べた。

県 は2011年から、組織的に誘致活動をスタート。今年2月には農林水産商工本部に専任組織「ILC推 進グループ」を設け、国などへ要望活動をしてきた。また、県商工会議所連合会を中心に「ILC県推進協議会」が発足し、市民の関心を集めようと啓発活動に 取り組み、誘致実現に向けて機運を高めてきた。

ILC推進グループの担当者は「脊振山地が劣っていた理由や課題などを精査し直し、今後の科学啓発につなげてたい」と述べた。